ファーストキャビンという、新種のカプセルホテルのチェーン店があります。
日本の法的な分類上はホテルではなく、カプセルホテルなどと同様の、簡易宿所に分類されます。
ここ10年以内に最初の店ができて以来(店と表現していいのでしょうか、ホテルって。ほかに適切な表現が見あたりません。)現在、日本国内の大都市(京都市や福岡市など)や空港(羽田空港と関西空港)に合計で10か所前後の新店が次々と誕生している、勢いのあるチェーン店です。
(個人的な立場から、――嫌いではないのですが――詳しく紹介して泊まってほしいという考えでいるわけではないので概要だけ述べるにとどめます。)
新規の出店が日本各地で続々とできているのは、それだけの(売上げとか、稼働率などという、数値化できる)支持を宿泊客から集めることができているからなわけですが、私はファーストキャビン、あまり好きではありません。
その理由をいくつか挙げます。
なお、同チェーン店の営業を妨害する意図では、さらさらありません。
多くの支持がある一方でこういう一面もあるのだという、参考として読んでいただければと思います。
- 豪華そうに見えるのはフロントだけ。
――未知の”キャビン”内の仕様がどうなっているのか、わくわくしながらフロントでチェックインしたときのことを思い出します。
その、わくわくはとりあえず、持たずに来訪することをおすすめします。
期待が大きければそれだけ、期待外れだったときの落胆も大きくなるからです。
- 床全体がかさ上げされているので歩くときに音がひびく
――音がひびくので深く眠ってしまい寝過ごす危険性が小さい、と言いかえることもできます、か。
- 共同の浴場の規模が小さい
――カプセルホテルやサウナには、何種類もの湯船や高温のサウナ室がありますが、ファーストキャビンにはそれがありません。
- 使えるタオルの枚数が決められている
――追加で使いたいときには料金が必要です。
夜に入浴して朝の出発前にもう一度、といった複数回の行水(汗を洗い流すこと。)をあきらめるか、アディショナル・コストを容認するか、です。
カプセルホテルやサウナの共同浴場は、サービスの分類にファーストクラスとか、ビジネスクラスなどという仰々しい表現を使いませんが、そういった余計な出費を利用者に強いることは、まぁ、ないです。
- 目覚まし時計が設置されていない
――設置すれば他のキャビンにも聞こえるから設置がないのだと思います。 - 鍵をかけて保管できるボックスの容積が小さい
――(私は持参しませんが)コロコロ転がすキャスタつきのキャリーバッグは、入れられません。
上の写真は鍵を挿した状態で撮ったものですが、手前の壁側に写っている、細長いボックスに上から収納するようになっています。
トートバッグなら入りますが、トートバッグひとつで旅するひとって、少数派ではないでしょうか。
(ちなみに私はその、少数派のひとりなので個人的には問題はないのですが。)余談ながら、カギがかけられるボックスの蓋の上に載っている(私が載せた)ものは、チェックインのさいにフロントで貸与される、ヘッドホンです。
イヤホンではなく、ヘッドホンです。
写真はブラインドを上から5分の1くらい下げた状態で撮ったものですが、その裏に液晶テレビがあります。
そのテレビを、ヘッドホンをせずに音声を聞く仕様にすると、他のキャビンに漏れてしまうから、ヘッドホンが必要なのだと思います。
要するにこのファーストキャビンの”キャビン”には、一般的なカプセルホテルの”カプセル”では当然の仕様である防音性が、あまりないということです。ファーストクラス、ビジネスクラス、という分類の名称の割に、施設の中身は本当にエコノミー。
それでいて1泊あたりにかかる費用は他のカプセルホテルよりもアッパークラス、というのがこのチェーン店の私的な印象です。
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