新潟から新宿へWILLERの2+2列シート・リラックスで(車内篇)

バス/bus 未分類

経済的な位置づけながら、フード、大胆なチルト機能、など個性的な工夫をいくつも凝らしているWILLERの”リラックス”という種類のシート。
多様な座席がある同社のバスのなかで運行本数も多いのがこのタイプです。

新潟から池袋を経て新宿までの移動、その前後の発着にまつわる補足的な説明、など(客室内のこと以外の)一連の叙述は前回のエントリをどうぞ(→参照)。

通路の左右に2列ずつの4列シートという(高速バスや観光バスで主流の)オーソドックスな配置です。

フード(キャノピー)があるのがWILLER(ウィラー)のこのシートの大きな特徴のひとつ。
(カノピーとWILLERでは呼称しています。cameraはカメラかキャメラか、Canonはカノンかキヤノンか、という表記の揺れの問題です。)
旅客輸送を担う他の会社も採用すればいいのに、どうして追随しないんだろう?と思って調べるとこのシート、WILLER ALLIANCEと、開発した天龍工業によって意匠が出願され、’14年に登録されているんですね。

左右両窓側の床下には、暖気が流れるダクトがバスの前後方向に延びており、干渉するのでレッグレスト(膝裏から下を支える面)の一角が窓側の席は直角に欠けています。
足を自由に動かせる空間が(座る位置により)狭くなっている苦難は、バスに限定せず鉄道でも飛行機においても直面します。乗車が短時間ならあまり気にならないのですが、各個人、その日の体調などによっても長短は変化しますから、なかなか単純に割切れない話です。

もうひとつの大きな特徴が、140度(140°)も後方へリクライニングできるその倒れっぷりです。

【公式】高速バス シートタイプ紹介・比較|高速バス/夜行バス予約|WILLER TRAVEL
https://travel.willer.co.jp/seat/specification/

それぞれのシートの傾く角度を公式サイトで明示し、しかもわかりやすく表にまでしているのは誠実だと私は思います。

140度といえばJR九州の特急形電車・787系の6両編成に3席だけ設置されている、(グリーン席よりもさらに上位の)DXグリーン席もこの角度まで平たくなるのですが、不思議なことにこの角度まで倒れるとほぼフラットになっている感覚なんですよね。
両シートとも背座角度(座角)が140度になるのですが、WILLERのリラックスのシートはレッグレスト(膝裏から下を支える面)と座面(尻の接地面)にも角度がついています(同一の平面になりません)。

レッグレストと背面(背もたれ)のリクライニングの操作はそれぞれ独立していて、段階式ではなく(好みの位置で止められる)フリーストップ式です。
座面はそのままに背面だけが傾きます。
背もたれを倒したりレッグレストを上げたりは、ふたつのレバー(窓側)ないしボタン(通路側)でそれぞれ別個に動かせます。

通路側の席は電源(いわゆるコンセント)は、通路側のアームレスト(ひじ掛け)にあります。

窓側の席の電源は壁面です。
(WILLERのカスタマイズで特設したものではなく、標準装備です。)
フットレスト(足首以下を支える面)もあります。

一番前の4席にフットレストはありませんが、足が伸ばせるように空間を設ける配慮はされています。
それに、前列の背もたれがリクライニングで倒れてきてパーソナルスペースが狭くなる心配が最前列にはありません。
なお、窓は開閉しません。

隣接する座席の中間はアームレストではなく高めのディバイダで仕切られているので、ひじの置き場所に配慮する必要がありません。
仕切りのドリンクホルダは、現行のリラックスのシートにモデルチェンジする前には装備されておらず、設計を変えて’13年の終わりに導入されはじめたものです。
(このホルダも、先述の2社によって飲料容器保持器として意匠登録されています。)

奥の席のひじ掛けに見える黒い色のふたつのボタンが上述の、背もたれとレッグレストの角度をコントロールするときに押すものです。

荷棚は一部がスリット状に半透明になっており、上に荷物があれば判別しやすくなっています。
読書灯は機能しました。(飛行機ではあまり経験はありませんが、)装置はあるのに点かない観光バスにはよく乗りますのでライトの可動は重要なチェック項目です。

荷棚には貸出し用にブランケット(毛布)があります。
新幹線では毛布を貸すのは、グリーン車の乗客に対してだけです。リクライニングの件でも日本の鉄道のサービスで類似する例を挙げましたが、普通車ではなくグリーン車が比較対象です。高速バスがこれだけ居住性の高いサービスをリーズナブルに提供していればどちらが評判を呼ぶか、人気投票の結果は自明だと思います。

アイマスクを持参せずとも外光を遮断できる効果は、とりわけ昼行便では大きいものがあります。
寝顔を見せることになる、眠る乗客が多い夜行バスでの運行時ももちろん、キャノピーはありがたい機能であるはずです。

運転席の背後には、客席とのあいだに透明の板が。


日野自動車のセレガや、(デフォルトの社名や車種のロゴタイプやプレートを撤去しているのでわかりづらいですが)三菱ふそうのエアロエースが運行に就いています。
車両の台数は後者のほうが多いんじゃないでしょうか。車内の写真もすべてエアロエースのものです。

WILLERのバスの”リラックス”というシートをおすすめするつもりで快適さについて利点をいくつも挙げましたが、(欠点というより)注意点もありますから指摘しておかなければなりません。
長くなりますので(無視して打つのをやめようかとも考えましたが、念頭に置いておいたほうがいいことだと私は思いますから)、さらに分割して次回のリリースとします。



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