直通列車に乗らない客を頑なに拒むソウル駅の都心空港ターミナル

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空港鉄道・A’REXの直通列車のチケットを先に買わないとソウル駅にある都心空港ターミナルでは搭乗や出国の手続きができない、という不合理さの話です。
市内チェックインのメリットがかなり減殺されています。

  • インタウン・チェックインの概要

空港へ行く手前で搭乗手続きが終えられるサービスです。
最大のメリットは、早い段階でチェックインを済ませるのでフライトまでの行動の自由度が増す点です。
飛行機の貨物室に入れてもらうバッグやケースを先に預けられれば、重い荷物からも解放されますよね。
空港に着いてからも、有人の窓口にてチェックインするときの行列とは無縁です。

韓国においては、ソウルの仁川空港を出発するフライトに搭乗する客のみに市内チェックインの的は絞られています。
(2年以上前までは金浦空港の出発便でも利用できましたが、現在は対象外です。)

出国審査も先に終えることができるのも、韓国のインタウン・チェックインの特徴です。
出国の手続きを済ませていると仁川空港にて手荷物検査のさいに、多数が並ぶ列ではなく乗務員や外交官用に設定された専用出国通路のものが使えます。


・三成(サムソン)のCOEX(ソウルの江南エリア)、
・KTX光明駅(ソウルの南隣りの光明市内)、
の両地にもチェックインが可能な都心空港ターミナルが設置されており、ソウル駅の窓口はそれらも入れた3か所にあるうちのひとつです。

で、ここからが本題です。

  • ソウル駅のインタウン・チェックインの制限

ソウル駅のカウンタを利用するにあたっては、他の2か所にはない制限があります。
直通列車のチケットを先に買わないと手続きができない点です。

空港のアクセスの用に供する列車といえば、日本だと南海のラピートや京成のスカイライナーなどがありますが、前者はタイミングによっては先発する下位種別(空港急行)の列車がそのまま先着したり、後者は――乗客数の低迷ゆえか、4月より試験的に多くを青砥駅に停めていますが――空港と都心との中間からは利用することができなかったりします。
A’REXの直通列車は見事にこれら両方のデメリットを具有しており、あまり乗りたいと思う機会がないのです。

この日は香港からの乗継ぎの旅程につき(前日のうちに香港のカウンタにおいて)搭乗券を発行してもらっていましたので、チェックインの必要はありませんでした。
空港の手荷物検査の行列は短いほうがいいので、出国の手続きだけ前もってソウル駅にて済ませようと考え、出国審査の窓口を訪問します。
すると、航空会社のカウンタで航空券にスタンプ(押印)をもらってこい、と審査官よりガイドを受けます。
ところが、直通列車の乗車券を買え(、さもなくば押印はしない)、と隣接する区画にいるキャリアのスタッフはいうではないですか。

出発まで数分しかない、先発の直通列車に乗ることは事実上できません。そして、そのつぎに仁川に先着するのは10分も待たずに乗れる、(各駅に停まる)一般列車です。30分もさらに待つことになる直通列車に私のスケジュールを律儀に合わせる、まともな理由はあるでしょうか。
時間を短縮したいために時間が余計にかかる肢を選ぶのは本末転倒です。

途中の駅に停まらない直通列車の乗車をソウル駅における市内チェックインの条件にするのは(納得はしませんが、百歩ほど譲って)いいとしても、先にチケットを買わせるシステムは乗るほうの段取りを絶望的に無視しています。
搭乗手続きを終えて空港のセキュリティ・エリアに入場するまでの時間を自在に使えるようになるところにインタウン・チェックインの利点があるのに、乗る列車を先に決めろ、とスケジュールの束縛を求めてくるわけですから。

ここのカウンタがあまりに人気で利用者の列が絶えないため数を減らす意図でこのルールを設けている、とのことであれば、現実的な対応策として制限もやむなし、と思うのですよ。

しかしながら、実際にはあまり搭乗客はいません。
そりゃそうです、指摘したように使い勝手がよくないので。

便利なものを使うために不便なものを抱きあわせにされるのは理不尽ゆえに、後者を利用しないでなんとか前者の恩恵にあずかることだけができないか、と試してみたけれどダメだった、って話題でした。
こうした全体主義的なオペレーションは近隣の島国の接客でよくみられる得意技だと思っていましたが、稀少ながらも韓国にもありますよ、という一例です。



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