移動篇・定額相乗りタクシーで香港空港から港珠澳大橋へ

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香港國際機場(香港空港)から港珠澳大橋を経由しマカオや大陸の珠海へ行ける、定額の相乗りタクシーに乗ったさいの実録のうち、三つに分割した最後のひとつが今回のエントリです。

メルセデス・ベンツの3列シート車がやって来ました。
私が乗ったのは橋が開通してから1年以上が経過した昨年・’20年の年始でしたが、ほぼ新車でした。香港の市中のタクシーを想像していると、いい意味で期待は裏切られるでしょう。
車内における飲食は禁止です――これはシャトルバスの港珠澳大橋穿梭巴士(金巴)も同様です。――ので、そのことも清潔さを維持できている要因のひとつだと思います。

着席位置は、実質的に指定できません。
最初、私は2列め(運転席の後ろの位置)に座ったのですが、助手席へ移動するよう、(運転手ではない)スタッフに英語で丁寧に告げられました。

旅券とARRIVAL CARD(出国カード。複写式になっている出入国カードの2枚め)を運転手より求められるので、リクエストされるまま預けます。――理由はこの数分後にわかります。

ウィンドシールドに貼られているのは、橋の通行か営業か、なにかが許可された旨を示す書類だと思われます。
大型のバスではなくバンを使用している営業形態であれば予約が多いときには機動的に台数を増やせるのでは?と思う一方、申請したら無制限に運行の許可が出るわけでもないみたいです。

20時35分に車は到着、空港の駐車場を出たのは20時41分でした。
手書きで”2030″とシールに記されたように、20時30分には出発するもの、という認識でいましたが、目安ぐらいの感覚でいたほうがいいのかもしれません。

OpenStreetMap
https://osm.org/directions?route=22.3181%2C113.9345%3B22.2020%2C113.5768


https://osm.org/directions?engine=fossgis_osrm_car&route=22.3181%2C113.9345%3B22.2020%2C113.5768#map=12/22.2611/113.7679&layers=T

さて、相乗りタクシーを使ったときに受けられる大きなメリットのひとつに、車から降りないで香港を出境できることが挙げられます。


https://osm.org/directions?engine=fossgis_osrm_car&route=22.3181%2C113.9345%3B22.2020%2C113.5768#map=18/22.31600/113.95850&layers=T

発車して数分後、有料道路の料金所のようなポイントにて停車します。出境の審査のためです。
全員のパスポートをまとめて運転手が”料金所”のブースにいる男性の係員に、料金や高速道路の通行券を手渡す感じで車内にいる全員のパスポートとARRIVAL CARDを提出します。
そのスタッフが目視で照合しますので、審査される客らは彼のほうへ顔を向ける必要があります。車内には5人(と運転手がおり)、停車時間は3分から4分、といったところでした。
終わると、(学校にてプリントを前の席から手渡されるのと同様の要領で)リレーにより旅券が各乗客に返されます。

関門をパスし、いよいよ港珠澳大橋です。
しかし、車がほとんど通っていません。通行の許可が出にくいのか、東京湾を横断する道路がかつてそうだったように通行料が高いのか、その両方か、はたまたほかの理由があるのか、新設の橋を充分に活かさない本当の事情が気になります。
――そんなわけで、先刻の出境審査のプロセスにおいても、料金所渋滞のような待ち時間が発生することは現状、皆無と想定していいでしょう。

橋上を走る速さは、一定です。運転手も制限時速の100km(キロメートル)をきっちり守ります。
推測するに、認められた最高速度を超えたときのペナルティが厳しいのだと思います。でなければ、中華圏では考えられない品行方正っぷりの説明がつきません。

ただ、大きなバスに課せられている速度制限よりは緩いらしく、道すがら何台も金巴を追抜きます。この点もバスではなく相乗りタクシーを利用した場合のアドバンテージのひとつです。


https://osm.org/directions?engine=fossgis_osrm_car&route=22.3181%2C113.9345%3B22.2020%2C113.5768#map=18/22.28240/113.84350&layers=T

駐車場を発車して20分ほどで、海底トンネルに突入します。7キロ弱の長さのトンネルをずっと定速で走ると何分何秒後に抜けますか?、っていう算数の文章題にありそうなリアルな適例です。
(加速も減速もなしにずっと一定の速さで走るケースなど、走る車の台数がよほど少ない状態でなければなかなか生起しにくいのではないでしょうか。)
長さはトンネルの入口、時速はダッシュボードのメータを見たらわかります。何時何分何秒に突入したかを記録しておけば、トンネルを脱出するタイミングを正しく当てられるはずです。

トンネルを抜けると、毎時115、6キロくらいまでスピードが上がりました。看板には澳門21km、珠海21km、广州172km、と記されていましたので、橋の西端まであと20キロ強といったところでしょう。

トンネルを出て3分ほどで、ライトアップされた橋脚を通過します。南北に縦断する大型の船のために橋が山状に高くなっている箇所です。
その数分後には、正面や左手にSandsという澳門金沙(Sands Macao)のロゴタイプが小さく確認できるようになり、目的地が姿を見せはじめます。到着まで10分もありません。

左から澳門、珠海、珠海、と3車線のアスファルトに記された場所まで来たらそろそろ分岐です。
急な下り坂を抜け、料金所を通過し、マカオと珠海との二股を経て、イミグレの手前に到着します。
距離はだいたい40キロほどのはずなのだから30分前後で着くのでは、と読んでいましたが、つつしみ深い定速運転や出境の審査にかかる時間を考慮に入れていなかったこともあり、実際に車を降りたのは発車から約40分後でした。

(上の写真はマカオではなく珠海側に着いたときの、入国審査の手前です。)
一時的ではあってもパスポートという身分の証を他人に預けたくないことや、見知らぬひとと(バスよりも)狭い空間を共有したくないことなど、メリットを感じるばかりではありませんでしたが、西進する便ではシームレス、そして確実に早く移動できるのがこの相乗りタクシーです。
私の投稿が港澳間、または港珠間を越境する手段をセレクトする一助になれば、と思います。



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