周辺諸国のそれらより使い勝手のいい日本の交通系ICカード

バス/bus 未分類 鉄軌道/railroad railway

やれニッポンスゴイだの、おもてなしがどうだの、と自国のモノやサービスこそ至上と信じて疑わないかたたちに対しては、どうぞ内輪でその情熱を消費していただければと私は思うのですが、そんな私も他国の同種のサービスよりも使い勝手が優れていると感じるのが、日本の交通系ICカードです。

  • 韓国の交通カードとの比較

隣国・韓国においては、交通カード(교통카드)という非接触式のカードが各都市にて相互に利用できます。
以前はそれぞれの都市ごとに使えるカードが普及しており、互換性はありませんでした。

2000年代から2010年代にかけて徐々に相互利用が拡大していきましたが、残念なことに既存の古いカードは共通化の対象外でした。
ゆえに、サービスが開始された当初にソウルや釜山にて買ったカードはそれぞれの都市圏内のみでしか使えず、私はしばらく複数枚のカードを所持しながら同国内の地下鉄やバスに乗っていたのです。

そんな複数枚持ちの状態が終わったのは、面倒だと私が思ったからではありません。
それらのうちの1枚の、カード内のICチップの情報が読取れなくなり使用不能になったためです。
いくら充填(チャージ)していたのか正確に記憶はしていなかったのですが、1万ウォン(千円前後)は入れていたと思います。

日本の交通系ICカードのモノ自体がダメになったという話を私は聞いたことがありませんが万が一、同様の障害が起きてそのカードがもう使えなくなった場合であっても、残額は保証されますし、再発行の手数料もデポジットも不要です。

  • 香港のオクトパスやマカオのマカオパスとの比較

香港においてオクトパス(八達通)という、地下鉄(MTR)の乗車に使えるカードが発行されるようになったのは前世紀末・1997年の、イギリスからの返還直後です。
その2年後、1999年にはマカオにて使えるマカオパス(澳門通)が登場します。

両地域において共通するのは、それらのカードを持っていなければ(鉄道はともかく)バスの運賃の支払いが面倒なことです。
運賃箱は釣り銭が出てきたり両替ができたりするような高機能なものではありません――これは韓国や中国大陸でも同様です。――し、とりわけ香港においては乗る区間によって小刻みに運賃が変わるのに運賃表示器は車内に設置されていないのです。

そんな事情から、旅行者も公共の交通機関に乗るためにカードを購入することになるわけですが、どちらのカードも利用の記録がまったくない場合は1年か2年ほど経つと年間で十数香港ドル、毎月数パタカが残額やデポジットより差引かれていき、数年で使えなくなってしまいます。

日本の交通系ICカードには、所持者の権利(価値)を一方的に減じていくような、旅行者泣かせの意地悪なルールはないばかりか、最後に利用した日から10年間は残高が保証されます。

換言すると、国外からの旅行客にとって使いやすい日本の交通系ICカードの機能を、日本より海外に訪問したときに彼地において期待はしないほうがいいということです。



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