大阪の地下鉄が梅田3駅の改札外乗継ぎの制度をやめたら?

未分類 鉄軌道/railroad railway

大阪の地下鉄の西梅田駅(四つ橋線)、梅田駅(御堂筋線)、東梅田駅(谷町線)の3駅は改札内でつながっておらず、30分間の制限時間内に改札口の外にいったん出たうえで再入場する乗換えが認められています。

この制度を大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)が、もし廃止したらどうなるでしょう?
たとえば、御堂筋線の梅田駅以北と谷町線の東梅田駅以東との往来にあたっては、最短でも本町筋の中央線を経由する大きな遠回りか、梅田駅、東梅田駅における運賃計算の打切りを不本意ながらも受忍しなければなりません。

――いまのは仮定の話ですが、ある鉄道事業者が、このような廃止を実行に移すつもりでいます。

福岡市交通局です。

空港線の天神駅と七隈線の天神南駅とを120分以内に改札外で乗継ぐことで運賃を通算する”特例”を、来春・2023年3月にやめると表明しています。↓

七隈線延伸区間(天神南~博多)開業に伴う運賃認可申請について | 福岡市地下鉄
https://subway.city.fukuoka.lg.jp/topics/detail.php?id=1529


https://subway.city.fukuoka.lg.jp/subway_webapp/files/uploads/%E6%97%85%E5%AE%A2%E9%81%8B%E8%B3%83%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E8%AA%8D%E5%8F%AF%E7%94%B3%E8%AB%8B%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf

七隈線の博多駅が改札内で空港線の既存の同駅とつながるようになるから、というのがその理由です。

とりわけ厄介な思いをするのは、空港線の天神駅以西と七隈線の天神南駅以西とを往来する場合でしょう。
これまでは寄る必要のなかった博多駅まで往復しなければならないか、天神駅か天神南駅かにて初乗り運賃をあらためて支払わなければならないわけですから。
近い将来のこのルールの変更は乗客にとってメリットが本当にまったくなく、悪質であると断言してもいい愚行です。

制度を変えるにあたり同市の市議会において条例の改正を可決するプロセスを経ており、そんな市議会の議員を投票で選んだのは市内の有権者ですが、非有権者や、地下鉄の直通運転先であるJRの筑肥線の沿線に住むひと(福岡県の糸島市民、佐賀県の唐津市民)たちは一方的に不利益を甘受する以外にありません。

路線の規模が福岡と同程度で、旅客に対する便宜を適切に考慮している実例として、他都市の地下鉄の事業者のケースをふたつ挙げます。

ひとつは、札幌市交通局です。
それまでは改札内で乗継ぐことができたさっぽろ駅を、2017年に改札内で乗継げない構造に変えると同時に改札外での乗継ぎを30分以内で可能なようにしました。
ただし、遠回りした場合は初乗り運賃が再請求されます。

もうひとつは、神戸市交通局です。
新長田駅において改札内の乗継ぎができますが、西神・山手線の三宮駅と海岸線の三宮・花時計前駅とを改札外で90分以内に乗継ぐことも可能なルールになっています。
ただし、運賃は(最短距離ではなく)実際に乗車した経路で計算します。

双方とも、場合によっては運賃が高くなる制度でもありながら、消費者の利便性への配慮もなされていると評価していいでしょう。

神戸の地下鉄も札幌の地下鉄も、改札外で乗継ぐ駅(三宮の2駅、さっぽろ駅)の自動改札を通過するかしないかでルートが一意に定まる路線網です。
天神の2駅の現行の制度を残したまま、七隈線を博多駅まで延伸開業させたところで経路が特定できなくなる不都合は、それら両例と同様に福岡の地下鉄においても発生はしません。
他者の実例と比較しても、公共財を利用する側の合理性を完全に無視した福岡市のルールの変更は身勝手で、どう考えても適当ではないと私は思います。

(なお、福岡市、札幌市、神戸市のいずれの交通局とも料金、乗車料金などと呼称している代金について本稿においては、運賃という表現で統一しています。)



コメント

タイトルとURLをコピーしました