新快速はセクェソクなのか

未分類 鉄軌道/railroad railway

前世紀末あたり、四半世紀ほど前より日本の鉄道の新型車両に客室内にて次駅や停車駅を案内する液晶モニタが本格的に登場しました。
当初は日本語と英語の2か国語対応でしたが、2010年代ぐらいから簡体字(簡化字)の中国語と朝鮮語(韓国語)による案内も一般的になっています。

追って新車ではない既存の車両の装置が液晶の画面に交換されるようにもなりました。
大阪口の新快速や快速として走る、223系2000番台、1000番台がそうです。

で、本題なのですが。

新快速をハングルに直すと”새쾌속”になるのか、という話です。
セクェソクと見出しには打ちましたが実際の発音はセクェソッ、セケソッのほうが近いでしょう。

쾌속(クェソク)は快速をそのままハングルに変換したもので、こちらに異論は個人的にほぼ皆無です。

ただし、速達種別のひとつとして”쾌속”を使っている例を私は韓国の国内において一度も見たことがありません。
主流なのは급행(クペン)、つまり急行です。

日本と地理的に近く日本語由来の方言もある釜山においても同様です。

停車が少ないのを示す修飾語は、A’REX空港鉄道の直通列車の직통(チクトン、チットン)、市外バスや京畿道の広域バスの直行バスの직행(チケン)、なども一般的でしょう。

私が適否を問題にしたいのは쾌속(クェソク)という表現ではなく、새(セ)のほうです。
쾌속が快速をハングルにそのまま変換しただけのものであるのに対し、새は意訳で、新しいという意味の半島固有の言葉だからです。

3文字とも対応するハングルを充てた”신쾌속”に、なぜしなかったのか。

ひとつ考えられるのは、高速鉄道のKTXが走るまで韓国における最優等列車であった새마을호(セマウル号)に影響された可能性です。
もっとも、セマウル号のセマウルは国力の全体的な底上げ、近代化に寄与したセマウル運動が由来になっており、마을(マウル)も村という意味の固有語ですから、새쾌속(セクェソク)のような固有語と漢字語が混交する違和感はありません。

不可解さを増しているのは、JR西日本の公式サイトにおけるハングルの表記との不一致です。

신칸센, 특급, 급행, 신쾌속, 쾌속, 보통의 차이는… | 자주 하는 질문 | JR-West의 이용방법 |
https://faq.westjr.co.jp/kr/faq_detail.html?id=9670

新快速を신쾌속(シンクェソク)、と漢字をそのままハングルに変えて案内しているのです。
신(シン)も쾌속(クェソク)も漢字語ゆえ、こっちのほうがまだ自然ではあります。

ちなみに、JR東海も新快速という種別の列車を走らせています。
昨春より名古屋口の中央線、今月・2023年6月になって関西線にも投入された新型の車両は客室内の乗降用のドアの上に液晶ディスプレイを搭載するものの――

(新幹線においてもそうですが)同社は英語以外の外国語の案内を一切やらないため、比較の材料となるハングルの記載は今後も出現しないでしょう。



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